ろんせん日記

しがない大学生ろんせんが読んだ本、行った場所をちょくちょく紹介するブログです

旅行にトラブルは付き物…。NZクィーンズタウンをご紹介!

こんにちは!

 前回の更新からだいぶん時間が経ってしまいました…。

 

 

 

 

というのも実は今、ニュージーランドクィーンズタウンにおります!

 

 

 

 

クィーンズタウンって言われてピンとこない方、多いと思います。

 

 

 

どこにあるかと言うと…

 

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ここの 

 

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ここです!

 

 

 

 

 

山々に囲まれ、煌めくワカティプ湖畔の美しさが「ヴィクトリア女王にふさわしい」ことからそう名付けられたそうです。

 

 

 

 

日本からどうやって向かうのか、今回はそれを簡単にご紹介できたらと思います。

 

 

 

日本からはまず北島のオークランドまで移動し、そこから国内線へ乗り換えで移動します。

 

 

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搭乗前に食べたカツカレーです。

 

尋常じゃないくらい美味しかったです。

美味しすぎて食べたと言うよりほぼ吸っていました。

 

 

 

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利用したのはANAと同じスターアライアンスに所属するニュージーランド航空です。

今回乗った便もANAとのコードシェア便でした。

 

 

 

 

 

 

さて東京からニュージーランドオークランドまでおよそ10時間半。

目の前に席がない場所を取っていたので快適です。

 

 

 

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さあいざ出発…!バイバイ日本…!

 

 

 

 

 

 

 

…飛行機が動かねえ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待てど待てども動かない。

 

結局1時間近く待機してたのかな?

 

 

 

 

理由はよくわからないです。滑走路が混雑してたのかな…。

 

 

 

 

オークランドで国内線へのトランジットを1時間半でしなければならないので、この時点で30分しかない。

 

 

 

 

「入国審査とか荷物取ったりとかで時間かかるから、絶対間に合わない…早速トラブルや…」

 

 

 

 

と思っていたらCAさんが

 「遅れてごめんなさい。代わりの国内線手配したから」

 

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このメモを渡されました。

 

 

 

「めちゃくちゃ優しい!助かったー!」

と思った反面

「え、こんなんで飛行機のれんの!?」

 

 

と思わずツッコミたくもなりました(てかツッコミました)

 

 

オークランドの空港スタッフにこのメモを見せればノープロブレム!またチェックインし直して」

 

 

 

と言われた。信じるしかない。

うーんいきなりこれかあ…。

 

 

 

 

 

さてさて!

今回初めてニュージーランド航空の便に乗ったのですが、離陸前後に流れるセーフティービデオが面白い!

 

 

 

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僕が乗った時はこの映像でしたが、このほかにも

 

 

 

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山登ったり

 

 

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ラップ調だったり!

 

 

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ロードオブザリングの続編であるホビットシリーズ版があったり!

 

 

 

めちゃくちゃ多種多様!

 

日本の航空会社のセーフティービデオは単調かつ同じ動画ですので、飽きてしまいますね。

 

 

 

機内では「ラ・ラ・ランド」を英語字幕付きで挑戦してみましたが、気がついたら寝ており、いつのまにかオークランドに到着しておりました。笑

 

 

 

 

さてニュージーランドオークランドに到着!

 

 

 

入国許可等を済ませ、 まずSIMカードを買います。

 

 

 

三大通信会社の1つである、Sparkの2カ月期限のカードを買いました。

 

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中国語ですいません。

2ヶ月期限で8GBの回線、電話等は無制限で86ドルでした。

 

 

 

今思えばめちゃくちゃ高いですが、まあ連絡できる手段を早めに確保したかったので…。

 

スタッフの方は外国人慣れしているのか、かなりゆっくり話してくれたので、安心して買うことができました。

 

 

 

 

国際線ターミナルから国内線ターミナルまでは徒歩20分といったところでした。

 

途中建物の外に出なければならず、更に思ったより歩かされたので、

「ほんとにこっちであってんの?」

と思いましたが、無事ターミナルに着きました。

 

 

これ、飛行機変えてもらえてなかったら相当焦ってただろうな…。

 

 

 

国内線ターミナルのチェックインカウンターは全て自動化されていたため、対応してくれるスタッフを探すのに右往左往する羽目になりました。

 

 

やっとの思いで対応してくれるスタッフを捕まえ、事情を説明しようとしたら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メモがない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

移動のゴタゴタで失くしてしまったのです。

 

 

たまたま写真(上記掲載)を撮っていたから助かったものの、これがなければどの便のどの席を取ってもらっていたかわからないため、大ピンチでした。

 

 

 

メモを失くしてめちゃくちゃ焦ってる僕をみて、スタッフさんが

 

「一回落ち着いて、大丈夫よ」

 

 

と声をかけてくれたのはいい思い出です。

 

 

人にやさしく、これ大事ですね。

 暑さも相まって、ほんとうに気が狂いそうでした。

 

youtu.be

 

 

 

 

 

入学予定の語学学校で事前に空港からホームステイ先の家庭までのピックアップを予約していたため、

国内線に乗る前に電話で飛行機が遅れたために到着の時間がズレる旨を伝えました。

 

昔、中国にいた際にもかんじたのですが、外国語で電話するのはとても難しいですね。

 

対面とは違って表情や仕草がわからないand伝えられないため、本当の語学能力求められます。

 

 

 

 

 

 

さてさて!そんなトラブルたちも無事解決!

 

 

 

いよいよクィーンズタウンへ……というのはまた次回!それではー

 

 

 

 

初夢が大事なこと教えてくれた!

今更ながら、あけましておめでとうございます!

 

さて新年を迎えますと、なにかと”初◯◯”が出てくるわけです。

めでたいことです。普段は何気ないあれこれも有り難く感じます。

 

 

そんな普段は何気ないが、いざ

“初◯◯”

と付くと急に価値が上がるような気がしてくるモノの中に”夢”があると思います。

 

 


そう初夢。

 

 


僕にも1月2日の朝、初夢がやってまいりました。

 

なんと、気がついたら2007年!

当時中学2年生の自分にタイムスリップしておりました!(もちろん夢の中で)


しかも現在の自分の記憶を持ったまま。

 

まるでドラえもんの「人生やり直し機」のように。

dai.ly

 

 

 

今現在の記憶があるので、この後どのような未来が待っているか、わかるわけです。

 

 

当時僕には好きな人がいました。
通っていたテニススクールで同じクラスにいた女の子です。

 

しかし僕は男子校通いのおかげで女子に免疫がない+生来の自分に自信のない性格であったため、話しかける勇気が持てず、結局ほとんど会話を交えることなくその恋は終わってしまったのです。

 

あの時話しかけていれば(成就したかはさておき)何か変化があったかもしれない。なぜ何もアクションを起こさなかったんだ!せめて話しかけろや!

 

 

今でも時折思うささやかな青春の思い出です。

 

そんな後悔を今でも時折引きずるわけですから、当然「今度こそ!」という決意の元、

夢の中で僕はその人に声をかけるワケです。

 

 

最初は

「こんにちは!」

から始まり、

名前も聞き(名前も聞き出せなかった有様でした)、
どうやったか知らんが良い感じにコミュニケーションをとり、
さらにはどう聞き出したかわからないけど彼女のメールアドレスまで手に入れ、
挙げ句の果てには船橋ららぽーとでデートをする約束を取り付ける…!!!

 

 

 

 

…この瞬間に目が覚めてしまいました泣

 


起きた瞬間「ぐわー!」と叫び

 


続きを見せてくれ、と言わんばかりに二度寝をしたのは言うまでもありません(午後まで粘りましたが徒労でした)

 


もし、あの頃に戻れたらなぁ…。

今度こそ、今度こそは…!

 

と思った瞬間、あることに気がつきました。

 

 


今自分にある後悔って、ほとんど

「行動しとけばよかった」

という後悔じゃないか…?

 

 

 

 

 

・幼少時代にちゃんとピアノ習っとけばよかった
・中学受験もうちょっとちゃんと勉強しとけばよかった
・中学高校時代、理系科目を真面目にやっとけばよかった

・もうちょっと部活動に真剣に取り組めたのではないか

・大学入学後、もっとインターンに…語学に…

などなど

 

 


やらなきゃよかった!

という後悔は(お酒の失敗か食べ過ぎ以外)ほとんどないことに気がついたのです。

 

 

放送作家永六輔さんは

 

人間、今が一番若いんだよ。
明日より今日の方が若いんだから。
いつだって、その人にとって今が一番若いんだよ。

 

という名言を残しております。

 

 

 

 

なるほど、20年後の僕はきっと

「あー2018年。25の時、ちゃんと◯◯しとけばよかった」
と思うかもしれません。

45歳になって昔のことでクヨクヨしたくもないですが…。

 

 

 

 

思いたったが吉日!

善は急げ!

好機逸すべからず!

 

 

 

というわけで今年の標語は
Never miss an opportunity to be fabulous “(光輝くチャンスを逃すな)
でいきたいと思います。

 

 

なにカッコつけて英語で言ってんねんと思うかもしれません。いやカッコいいじゃん英語。

 

 

 

これ、浪人時代に読んだTina Seelig先生の本にある名言なのです。

 

浪人時代からのお付き合いの方々は
「今更それ言ってんのかい!」
と思うことでしょう。

 

 

6年前に知った言葉が今になって重く沁みてくる、つくづく自分は成長の遅い人間だなあと自己嫌悪に陥りそうになります。

 

 

 

というわけで、そんな良い夢を見させてくれた例のあの人(ヴォルデモートみたい)に感謝しつつ…

 

 

 

今年もよろしくお願いいたします。

 

 

 

What I Wish I Knew When I Was 20

What I Wish I Knew When I Was 20

 

 

 

パク・ヨンミ『In Order to Live(邦題:生きるための選択)』が私に教えてくれたもの

こんにちは。

 

本日紹介したい本はパク・ヨンミさん著の『In Order to Live』(日本語訳版タイトル『生きるための選択』)です。

 

本屋でこの本を見つけた時、日本語訳があるとは知らず、英語版に手を出してしまいました…。

買った当初はめちゃくちゃ後悔しましたが、今はこの本に出会えたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

 

さて本題

 

Yeonmi Park『In Order to Live:A North Korean Giri’s Journy to Freedom』

◆読了時間(まとめ含む):

1週間程度(普段英語の本を読まないため、少々時間がかかってしまいました)

◆重さ:

自叙伝のためスラスラ読めます。


◆評価(5段階):★★★★☆

『One Young World』での彼女のスピーチを観れば彼女の伝えたいこと、概要は理解できてしまう為

 



彼女の名前を聞いたことがある!という方もいらっしゃるのではないでしょうか、2014年にダブリンにて開かれた若者による国際会議「One Young World」にて彼女の行ったスピーチがインターネット上で一時期とても話題になりました。

 

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僕もこのスピーチを観て彼女を知りました。

自分と同い年であることからとても印象深く残っていた、というのが今回この本を手に取った理由です。

 

三部で構成されており、

一部が13歳で北朝鮮を脱出するまで、二部が中華人民共和国にて人身売買されモンゴルに脱出するまで、そして三部が渡韓してから現在に至るまでです。

  

 

私にとって特に印象的に残ったのが第三部でした。

 

というのも、渡韓後に著者が感じたことは私たちにとっても多くのことを再考させてくれる良いきっかけになったからです。

 

以下に特に印象的だった部分を引用します。(日本語訳は僕が頑張って作ったものです。下手な訳で申しわけありません)

 

自由である、とは

 

モンゴルを経由して韓国へ入国した著者、そこで初めて「自由である」ということを知ります。

  

 But for me the most difficult part of the program was learning to introduce myself in class. Almost nobody knew how to do this, so teachers taught us that the first thing you say is your name, age , and hometown.Then you can tell people about your hobbies, your favorite recording artist or movie star, and finally you can talk about “What you want to be in the future.” When I was called on,  froze.

私にとって一番大変だったのは、クラスで自己紹介をすることだった。ほとんどの生徒も同様に自己紹介のやり方を知らなかったため、教師はまず最初に自分の名前、年齢、そして出身地を言い、そして自分の趣味や好きなミュージシャンや映画スターについて話し、最後に将来自分は何になりたいかを話す、という手順を教えてくれた。しかしいざ自分の番になった時、私は固まってしまった。

 

I had no idea what a “hobby” was. When it was explain that it was something I did that made me happy, I couldn’t conceive of such a thing. My only goal was supposed to be making the regime happy. And why would anyone care about what “I” wanted to be when I grew up?

そもそも趣味とはなんなのかわからなかった。自分をより幸せにするものだ、と説明されてもそのようなものは想像できなかった。政権を喜ばせることだけが私の唯一の夢だとされてきたし、誰も“私”が大きくなったら何になりたいかなんて気にしなかった。

 

 I never knew freedom could be such a cruel and difficult thing. Until now, I had always thought that being free meant being able to wear jeans and watch whatever movies I wanted without worrying about being arrested. Now I realized that I had to think all the time— and it was exhausting.

自由がこんなに残酷で大変なものであるとは思いもよらなかった。自由というのは、逮捕される心配もなくジーンズを穿いたり好きな映画を観ることのできることだと思っていた。しかし今になって、自由であるということは、常に頭を使って考えなければならない、ひどく疲れるものであると知った。

 

 

就職活動をしていた時期には自己分析なんかして

「自分はどうなりたいのか」「目標は、夢は」

と自問自答をよくしたものですが、それは生活の安定した我々だからこそ持ちうる悩みなんですよね。

 

世界にはそんなこと考えもできない若者が大勢いる。

 

「やることがない」

というのも同様。恵まれている証なんですね。

 

 

勉強をすること、読書をすること

渡韓した当初に受けた学力テストの結果、彼女は15歳にもかかわらず算数は小学2年生程度、読み書きはそれ以下の実力でした。

しかし彼女はその後の猛勉強の結果、わずか2年で高校の学歴認定試験に合格し、その後ソウルにある東国大学に入学します。

 

The vocabulary in South Korea was so much richer than the one I had known, and when you have more words to describe the world, you increase your ability to think complex thoughts.

韓国には私が今まで知らなかった語彙が沢山あった。そして世界を表現する言葉や語彙が増えれば、複雑なことを考える能力も向上すると気付いた。

 

 

 I was starting to realize that you can’t really grow and learn unless you have a language to grow within. I could literally feel my brain coming to life, as if new pathway were firing up in places that had been dark and barren. Reading was teaching me what it meant to be alive, to be human.

私の中に育つ言葉がなければ、本当の意味で成長し、学ぶことはできない。暗く無味乾燥した土地に新たな道が開けるように、私の脳は文字通り生命を宿したような感覚を得た。読書が生きていることの意味、そして私が人間であることの意味を教えてくれた。

 

勉強は“いい大学にいくため” ”いい仕事につくため“だけに”やらされる“ものではない。

 

1人の人間としてより豊かに過ごすためのものなんだ。

 

この歳になって今だに勉強中にSNSをみたり、ついついYouTubeを開いてしまったりするのですが、もう少し身を引き締めねば、という思いに駆られます。(一方、そんな集中力のおかげで偶然彼女のスピーチに出会い、この本に出会えたのですから何が必要で何がムダかは分からんものです。)

 

 

自分は“何人”であるのか

一方で彼女は北朝鮮出身、ということで様々な差別を受けてきました。

 

渡韓してすぐ、彼女はパソコンを利用しようと安価でパソコンを使えるPCクラブに入店しようとした時のエピソードです。

As soon as he heard my accent, he knew I was not from South Korea.

” We don’t allow foreigner in this place,” he said.

” Okey, I’m from North Korea, but I’m a South Korea citizen now,” I said, utterly shocked. I could feel tears stinging my eyes.

” No, you’re a foreigner,” he said. “Foreigner are not allowed here!”

I turned and ran down the stairs, and I didn’t stop running until I got back to our apartment. I felt gutted.

私の訛った韓国語を聞き、彼は私が韓国出身ではないと分かったのか、

「外国人は入れないよ」と言ってきた。

私はあまりにもショックで、涙が目を刺すような感覚を覚えた。「私は確かに北朝鮮出身だけど、今は韓国の市民権を取得しています。」

「だめだ。お前は外国人だ。外国人は立ち入り禁止だ」

私は階段を駆け下り、そして自宅のアパートに着くまで走り続けた。心をぐちゃぐちゃにされたような気分だった。

 

また、大学入学後、ソウルの夜景を観て 

 

Sometimes I wondered how there could be so many light in this place when, just thirty-five miles north of here, a whole country was shrouded in darkness.(中略)I would wonder:Where is my place out there? Was I a North Korean or a South Korean? Was I neither?

時折私は、わずか35キロメートル北方には全体が暗闇に覆われた国があるのに、どうしてここには沢山の灯りがあるのか、疑問に思いました。(中略)私の居場所はどこなのか?私は北朝鮮人なのか、韓国人なのか?それともそのどちらでもないのか?

 

北朝鮮では脱北者は「裏切り者」として非難されます。そのため彼女にとって北朝鮮は祖国でありながら帰ることのできない故郷です。

 

彼女たち脱北者や、紛争によって発生した世界中にいる難民の人々も同じ思いを持っているのではないか、と考えさせられます。

 

 

いずれも日本で生まれ、日本で生活をする我々にとって殆どのことが「当たり前だ」と感じてしまうことであると思います。

 

本著を通じて「あたりまえの大切さ」を再認識できた気がします。

 

 

 

ぜひ皆さんもお手にとってご覧ください!

 

In Order to Live: A North Korean Girl's Journey to Freedom

In Order to Live: A North Korean Girl's Journey to Freedom

 

 

 

生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った

生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った

 

 

 

高橋和巳『邪宗門』は想像以上に”やばかった”

今回は『東大教師が新入生にすすめる本』というブックリストから、今回は高橋和巳著『邪宗門』をチョイスしました。

 

 

東大教師が新入生にすすめる本 (文春新書)

東大教師が新入生にすすめる本 (文春新書)

 

 

このブックリスト、良いですよ!

「本読みたいけど何読めばいいかわからない(けど失敗したくない…)」

という方にはもってこいです!

 東大教官がすすめる100冊: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

↑僕が日頃参考にさせていただいている『スゴ本』さんがまとめた記事もオススメです。ぜひ!

 

 

さてさて本題

 

 

高橋和巳邪宗門

◆読了時間(まとめ含む)

20時間程度でした。正月休みでまとまった時間が取れたこともあり、テンポ良く読めたので、普段の生活でしたらより時間はかかったと思います。

◆重さ

分量は上下巻合わせて約1200ページでした。

◆評価(5段階)

★★★★★

詳細は下記の通りですが、とにかく読み応えがあります。テーマが幅広く、一言では表せないボリュームです。なかなか他の小説にはない、という点で最高評価をつけさせていただきました。

◆こんな読者におススメしたい

しっかりアタマも使う、本格的な小説を読みたい!という方に是非!

◆感想

ヤバイです、この本

久しぶりに時間を忘れて読み続け、そして読み終わった瞬間に「おお」と溜息が出る本でした。

 

本作は大まかに三部に分かれており、 「ひのもと救霊会」という架空の新興宗教団体が昭和の戦前期から戦後にかけてどのように弾圧され、復興し、そして壊滅していくのかが描かれている。

…一言でまとめるとこうなのでしょうか?

 

しかし「本当にフィクションなのか?」「実在する人物、団体なのではないか?」
と思わせるくらい、登場人物1人ひとりが深く描かれています。

 

なかでも千葉潔は作品全体を覆うニヒリズム概念の象徴的存在であり、物語を終局に導く主人公たる登場人物です。

戦前の東北地方で起こった大飢饉による飢餓状態において、自らの母の死体を食べたことで生き延びた主人公。母の遺志を継ぎ、ひのもと救霊会によって保護されるが「本来生き延びてはいけない中で生きてる」という罪意識に苛まれつづける。

彼の三十年間の伴侶はただ飢えと苦痛だけだった。むろん彼の記憶の灰色の幕にも、人の慈悲に胸つかれ、なにかの喜びに胸ふくらんだ一齣一齣も映らぬわけではなかった。(中略)だが彼に報恩すべき地盤がなかった以上、それは常に負債にしかなりようはなく、結局は心のしこりとなった。感謝の念は返礼しうる余裕のある者の感情なのだ。

 

自らを育てた者への愛着畏敬と死霊恐怖が結合してやがて祖先崇拝となり、部族神の崇拝へと発展する……その宗教の根本において彼は阻害されていた。彼は禁忌たる死肉を食い、愛の宗教の母体であるものの犠牲の上に生きのびた。生きのびること自体が罰せられた存在であることであり、人並みの生活を望み、人並みの幸いを求めて、意識の中から恐ろしい記憶を排除しようとすることで、彼はすべての宗教の基礎をなす感情をいつしか失わねばならなかったのだ。

 

 貧者とは何ぞや、支配されるものなり
支配とは何ぞや、悪業なり
悪業とは何ぞや、欲望なり
欲望とは何ぞや、無明なり
無明とは何ぞや、執着なり
ああ、如何にして執着をのがれんや、ただ信仰によってのみ
信仰とは何ぞや、救済なり
救済とは何ぞや、死なり
死とは何ぞや、安楽なり
誰が誦するともなく、門外不出の奥義書がとなえられはじめた。そう、千葉潔がその政治主義を救霊会にもちこむまでもなく、救霊会は確かに〈邪宗〉だった。淫祠邪教の故に邪宗であるのではなく、窮極において、この世を信じえず享楽しえない人々の集団であるゆえに。

 

 

上記の部分以外にも政治、歴史など様々なテーマを秘めており、一言では紹介しきれない作品です。

 

 

分量は相当ありますが、「2018年最初にこの本に出会えてよかった。」と思える作品です。

 

是非是非!

 

 

邪宗門 上 (河出文庫)

邪宗門 上 (河出文庫)

 

 

邪宗門 下 (河出文庫)

邪宗門 下 (河出文庫)